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【哲学】アメリカでは啓蒙思想が死にかけているという主張

北米,社会

 啓蒙思想は、恐らく最も現代人が広く受容している哲学思想の1つである。それは、後に紹介する記事における啓蒙思想の定義を見れば明らかで、「啓蒙思想は、科学的原則、理性、世俗主義、王権・宗教権威に対する自由主義の優越を支持する18世紀の西洋における哲学運動であり、近代西洋文明、自由民主主義の基礎をなし、合理主義客観性経験主義人権等の思想を広げた」と、つまり今私達が生きている社会の礎となっている思想なのである。

 だが、今この啓蒙思想が危機に瀕しているという主張する人々がいる。アメリカの人々が啓蒙思想を軽蔑しはじめているというのだ。自由の国アメリカにおいて、何が起きているのだろうか。

両方向からの権威主義

「文化的、政治的姿勢が急速に変容し続ける中で、啓蒙主義的自由主義は、政治的立場全体にわたり国民の信頼を失いつつある。右派においては、ポピュリストによって権威主義化が中心化しており、左派においては、サクセサイデオロギー社会正義アイデンティティ政治キャンセルカルチャーなどを特徴とし、リベラルになりすました権威主義と説明される)が体制や若者から支持を受けている。

 右派は、啓蒙思想を内心馬鹿にしつつもリップサービスぐらいは送るが、左派は公然と啓蒙思想を否定するようになってきている。しかし、これらのこと自体が啓蒙主義的自由主義の重要性を示している。

 サクセサイデオロギーが啓蒙思想に対して不満を持つ理由には2つある。1つは表面的なもので、この思想が、主としてヨーロッパ人で、白人で、男性で、異性愛者によって生み出されたということである。つまり、当時の啓蒙思想家達が、現代の基準からすれば進歩的でないという批判である。

 もう1つはより深刻で、啓蒙思想こそが、帝国主義、植民地主義、戦争犯罪、ジェノサイド、奴隷制、アパルトヘイト等の偏見と暴力が支配する世界を生み出したとし、一見崇高な理想を掲げる啓蒙思想の実態は、人種差別的で西洋中心主義であるという批判である。

 たしかに、啓蒙思想家達は完璧ではないし、彼らが生み出した啓蒙的世界には大きな欠陥があったのも事実である。だが、啓蒙思想が開いた経験主義がなければ、どうして過去の啓蒙思想家を疑念を抱けるだろうか。啓蒙思想が開いた個人の自由や人権という価値観なくして、どうして奴隷制を非難できるだろうか。啓蒙思想が開いた被治者の同意の理念なくして、どうして声をあげようと思うことができるのだろうか。

 それらの思想や価値観は”白人のもの"ではなく、世界を認識し発展させるための基本的な構成要素であり、啓蒙思想はどのグループのものでもない。
 啓蒙思想は、世界を理解するための知識を生み、誤りを正し、それを繰り返すための知的な基盤そのものである。それは、結果ではなくプロセスであり、啓蒙思想は奴隷制を生みもしたし廃止にもした。啓蒙思想家は間違いも犯したが、そこから学び改善する道具を我々に与えてくれた。

 子が親を超えることは、すべての子と親の願いである。先人を嘲笑するのは傲慢で、少し恩知らずなことだ。我々が彼らよりも遠くを見ることができるようになったのは、彼らという巨人の肩の上に立っているからではないだろうか。」

著者抜粋翻訳・引用元:こちら

以下、この記事についてのレディターの反応

名前: SharpeDidntFoul_2003
記事の内容はとても良いが、その問題に対処する方法が私にはわからない。
啓蒙のための強力なツールであった合衆国憲法は、今や食いつぶされようとしている。
もともと憲法は当初酷いもので、核となる価値観は崇高な反面それは非常に不公平に実践された。
それでも崇高な価値観が、その状況を変え進歩させるための強力なツールでもあったという事実を人々に認識してもらいたい。
そこで私は、価値観を伝えるための新しいマスコットが必要なのではないかと思っている。
もはや古い啓蒙思想家はその役割を果たせないし、哲学を学ぶ人間には古いテキストで十分かもしれないが、多くの人にとってはそうではない。
何か象徴が必要だとは思うのだけど、なにがそれを果たせるのか分からない。


名前:American-Dreaming[記事の寄稿者]
>>SharpeDidntFoul_2003
私としては思想の実力主義が必要だと思っている。 実力主義には問題もあるが、思想という分野においては厳格に実力主義であるべきだと。
その思想にどのようなメリットがあるかを考えるべきで、みなでそれを実践できれば状況はよくなっていくと思う。


名前: VictorChariot
あらゆる考えは、先人の肩の上に立っている。
啓蒙思想家の中には、それがレールから外れることができた全く新しい思想だと思っている人もいるがそうではない。
そのために啓蒙思想には矛盾があるが、だからってそれを認めることは、啓蒙思想を捨てることを意味するわけではない。
私の考えにしても現代的な考え方にしてもやはり矛盾があり、批判されるべき部分があるだろうから、矛盾の存在をして啓蒙思想が否定されるべき理由にはならない。
私が否定したいのは、啓蒙思想は、他の思想や時代から独立しており、また批判されるべきでもないという考え方だ。
この記事からもそれを感じた。


名前: vrkas
>>VictorChariot
あぁ、自己矛盾や欠点を認識できなければ、進歩できるわけもない。
啓蒙主義も絶対教義にしてしまったら、私達は立ち尽くすしかないだろう。


名前: MikeMonje
この記事は、啓蒙思想を批判するなということではなく、キャンセルするなという趣旨なのだとうと思う。
もとよりキャンセルは不可能だと思うが。


名前:American-Dreaming[記事の寄稿者]
>>MikeMonje
その通り、それが私の伝えたかったことなので、まとめてくれてありがとう。


名前: Eleftherius
この記事の内容には概ね賛成はするのだけれども
ただ、寄稿者は反啓蒙思想運動を責めるよりも、まずなぜそれがアメリカで起き、他の地域、例えばもう一つの啓蒙主義大国であるドイツではそうでないのかを説明するべきだったんじゃないかな。
前提としてなぜ生じているのかが分からなければ、それを真に理解することなどできない。


名前: Slowtickjustice
この記事は面白いけど、一方で無力感を抱いてしまった。
つまり、この問題に対して強く関心を持ってかつ影響力を行使しようという人は誰もいないだろうということ
この問題の根っこは、多くの人が探究心や洞察力を失っているということで、それも社会全体に蔓延している事実がもう手遅れであることを示している。
ならばこそ、それを思い出させてくれたこの記事には感謝するが、真に読むべき人がこれを読むことはないだろう。


名前:American-Dreaming[記事の寄稿者]
>>Slowtickjustice
たしかに特定の思考の誤りに陥りやすい人々は、そもそも自分の殻から外に手をさしだすことはないし、変わることもできないだろう。
それでも、みんながそうならないように予防接種をすることには価値があるさ。


名前: Slowtickjustice
>>American-Dreaming[記事の寄稿者]
この記事が無価値だと言っているわけじゃないよ。
でもあなたがこのメッセージを届けたいと思っている相手には届いていないんじゃないかと思ったのさ。


著者抜粋翻訳・引用元:Reddit